SEのキャリアパスについて具体的に考えるようになると、転職に最適な時期についても気になりはじめることでしょう。絶対に成功するタイミングというものはなく、人によって転職のベストタイミングは異なります。それでも、SEとしての仕事を経験した年数がある程度の目安になります。
SEになって2年から3年ぐらいの頃は、SEとしての一連の仕事を1人でこなせるようになっている頃です。とはいえ、専門知識やスキルはまだ浅く、SEとしてのスタートラインに立ったばかりです。このタイミングでの転職はまだ早いと考えるのが一般的で、キャリアアップはまだもう少し先かもしれません。
転職に際して、求められるのは即戦力です。即戦力として通用するだけの十分なスキルがないと、転職しても状況はあまり変わらず条件だけが下がることになります。経験年数の少なさを補ってあまりある要素がない限り、このタイミングでの転職はおすすめできません。SEになって2年か3年で転職を成功させる人は、早いうちからキャリアパスを思い描いて努力を重ねてきた人です。スキルアップのために勉強し、いくつかの資格を取得しています。転職後にやりたいことが明確で、その経験を活かして将来どうなりたいかまで具体的にイメージできています。
SEになって5年から6年ぐらい経過すると、転職を考える人が多くなります。1人で仕事ができるようになってから経験を積み、キャリアプランも具体的になってくる頃です。ただし、この時点で転職を成功させられるのは、スキルアップのための努力を続けてきた人です。システム開発に関する実績、成果を具体的にアピールできるなら、転職にチャレンジできる要素は十分にあります。経験年数だけを見れば十分な年数とはいえませんが、さらなるステップアップのために転職する人もいます。
SEになって10年以上経過すると、新卒でSEになった人なら30代前半になっています。一般的な転職のタイミングとしては遅いほうかもしれませんが、経験豊富で能力が高いSEならステップアップのチャンスがあります。ただし、そもそも給与水準が高い大手企業から転職する場合は、転職で年収がダウンしてしまうリスクがあります。大手企業である程度の地位を築いている場合、むしろそのことが転職では不利に作用することもあります。大手企業のシステム開発と中小企業のシステム開発では。SEに求められるスキルが異なります。経験年数10年以上で転職する場合には、どの企業でも通用するマルチなスキルがあるかどうかが決め手となるでしょう。
IT業界の前線に立つ職種はとても幅広く、その分SEのキャリアの選択肢も広範囲にわたります。日進月歩のIT業界で今後のキャリアプランを考えるなら、将来性に着目するのも一つの方法です。SEのキャリアプランの例としてはAIエンジニア・セキュリティエンジニア・ITスペシャリストの選択肢があり、いずれも需要の高さが特徴です。
SEのキャリアパスは、どのようにスキルアップするかが重要なカギとなります。SEの勉強方法は読書とインターネットの併用が主流ですが、効率的に知識を身につける工夫が必要です。読書は量ではなく質を重視し、プログラミング学習サイトなども活用しましょう。勉強のためにまとまった時間を確保できなくても、スキマ時間を使って知識を積み上げることができます。勉強会やイベントなどにも積極的に参加し、同業者との交流を深めましょう。
SEのキャリアパスが多様化した要因のひとつに、フリーランスの増加があります。フリーランスSEの多くは出向型や常駐型の働き方ですが、少数ながらリモートワーク型で働く人もいます。SEがフリーランスとして通用するようになるまでには、少なくとも5年程度の経験が必要といわれています。リモートワークは情報漏洩のリスクを考慮すると、どうしても小規模システムの案件が多くなりプログラミングがメインとなることがほとんどです。
SEの主な仕事はシステム開発における上流工程で、IT系の資格を必須とするものではありません。ただし、資格を持っていれば高い専門性と技術力の証明になり、理想のキャリアパスを実現するのに役立ちます。これからのSEにおすすめの資格は、IPAが実施している国家試験の「情報処理技術者試験」、ベンダー資格の「オラクルマスター」などです。資格の難易度が高ければ高いほど、SEとしての市場価値を高めることができます。
SEとしてのキャリアパスがはっきりしてくると、転職を考えるようになるかもしれません。SE転職を成功させるコツは、IT業界の転職事情について把握し、応募書類の作成や面接対策をしっかり行うことです。本人が考えているSEとしての市場価値と実際の市場価値が異なる場合があるので、検証する必要もあります。転職エージェントに相談すれば、SEとしての現時点での能力が市場でどのぐらいの価値を持つのかを検証できます。
フリーランスSEが案件を獲得する方法は複数あります。多くのフリーランスは、かつての勤務先の同僚や顧客、友人、知人などの紹介で案件を受注しています。クラウドソーシングサイトからの案件で実績を積んだり、勉強会やセミナーに参加して技術や案件に関する情報を交換をしたりする方法もあります。自分から積極的に行動することが難しいフリーランスでも、フリーランスエージェントを活用すれば、自分のスキルに合う案件をすぐに見つけることができます。