システム開発におけるSEの仕事は、プログラミングの前段階である上流工程がメインです。SEになるために必須となる資格はなく、ITに関連する資格を一切持たずに活躍しているSEもいます。しかし、SEのキャリアパスを考える上でスキルアップが必要ならば、IT系の資格取得を目指すほうが合理的です。資格を取得した社員には手当や報奨金を支給している企業もあります。難易度が高い資格であればあるほどSEとしての付加価値は高まるので、理想のキャリアパスの実現に役立つ資格を見つけて積極的に挑戦しましょう。IT系の資格は大きく分けて、国家資格とベンダー資格の2つがあります。
国家資格は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している情報処理技術者試験です。情報処理技術者試験は、ITの基本的な知識や技能を問う「基本情報技術者試験」と応用的な知識や技能を問う「応用情報技術者試験」の他、各分野の高度な知識や技能を問うスペシャリスト向けの試験があります。多くのエンジニアが目指すのは、毎年春と秋の2回試験が実施されている「基本情報技術者試験」です。基本情報技術者試験はエンジニアの登竜門的な位置づけで、すべての問題が多肢選択式です。さらなるレベルアップを図りたい場合に、次のステップとなる応用情報技術者試験に挑戦します。応用情報技術者試験は合格率が基本情報技術者試験より低く、記述式の問題も出題されます。
SEがスペシャリスト系の資格を目指すなら、システムアーキテクト試験やネットワークスペシャリスト試験がおすすめです。2つともIPAが実施する国家試験で、高い専門性と技能を証明できます。システムアーキテクト試験では、情報システムや組み込みシステムに関する専門知識が問われます。ネットワークスペシャリスト試験では、ネットワークシステムの開発、運用、保守などのほか、ネットワークに関する深い知識が問われます。どちらのスペシャリスト試験も高い難易度ですが、持つと大きな強みになる資格です。情報処理技術者試験についての詳細は、IPAの公式サイトで調べることができます。
オラクル社の「Oracle Database」に関する知識と技能を証明できる「オラクルマスター」は、SEにおすすめのベンダー資格です。オラクルマスターには「Bronze」「Silver」「Gold」「Platinum」という4つのレベルがあり、Silver以降は世界共通の規格です。オラクルマスターの公式サイトから、オラクルマスターの概要その他試験に関するさまざまな情報を入手できます。
IT業界の前線に立つ職種はとても幅広く、その分SEのキャリアの選択肢も広範囲にわたります。日進月歩のIT業界で今後のキャリアプランを考えるなら、将来性に着目するのも一つの方法です。SEのキャリアプランの例としてはAIエンジニア・セキュリティエンジニア・ITスペシャリストの選択肢があり、いずれも需要の高さが特徴です。
SEのキャリアパスは、どのようにスキルアップするかが重要なカギとなります。SEの勉強方法は読書とインターネットの併用が主流ですが、効率的に知識を身につける工夫が必要です。読書は量ではなく質を重視し、プログラミング学習サイトなども活用しましょう。勉強のためにまとまった時間を確保できなくても、スキマ時間を使って知識を積み上げることができます。勉強会やイベントなどにも積極的に参加し、同業者との交流を深めましょう。
SEのキャリアパスが多様化した要因のひとつに、フリーランスの増加があります。フリーランスSEの多くは出向型や常駐型の働き方ですが、少数ながらリモートワーク型で働く人もいます。SEがフリーランスとして通用するようになるまでには、少なくとも5年程度の経験が必要といわれています。リモートワークは情報漏洩のリスクを考慮すると、どうしても小規模システムの案件が多くなりプログラミングがメインとなることがほとんどです。
SEの主な仕事はシステム開発における上流工程で、IT系の資格を必須とするものではありません。ただし、資格を持っていれば高い専門性と技術力の証明になり、理想のキャリアパスを実現するのに役立ちます。これからのSEにおすすめの資格は、IPAが実施している国家試験の「情報処理技術者試験」、ベンダー資格の「オラクルマスター」などです。資格の難易度が高ければ高いほど、SEとしての市場価値を高めることができます。
SEとしてのキャリアパスがはっきりしてくると、転職を考えるようになるかもしれません。SE転職を成功させるコツは、IT業界の転職事情について把握し、応募書類の作成や面接対策をしっかり行うことです。本人が考えているSEとしての市場価値と実際の市場価値が異なる場合があるので、検証する必要もあります。転職エージェントに相談すれば、SEとしての現時点での能力が市場でどのぐらいの価値を持つのかを検証できます。
フリーランスSEが案件を獲得する方法は複数あります。多くのフリーランスは、かつての勤務先の同僚や顧客、友人、知人などの紹介で案件を受注しています。クラウドソーシングサイトからの案件で実績を積んだり、勉強会やセミナーに参加して技術や案件に関する情報を交換をしたりする方法もあります。自分から積極的に行動することが難しいフリーランスでも、フリーランスエージェントを活用すれば、自分のスキルに合う案件をすぐに見つけることができます。