ITが社会に欠かせない存在となった今の時代、SEが描くことが可能なキャリアパスは多種多様です。細かく見ればさまざまな方向性がありますが、SEのキャリアパスを大きく分けると2つの種類に分けることができます。ひとつはスペシャリストとしてのキャリアで、もうひとつはマネジメント職としてのキャリアです。それぞれ異なるSEのキャリアパスの概要をまずは理解し、大まかな方向性としてどちらが望ましいのか考えてみましょう。キャリアパスを決めるにあたっては、やりたい気持ちだけでなく適性と照らし合わせることも重要です。
スペシャリストの方向に進む人は、高い技術力を持っている人です。スペシャリストを好む人はマネジメント職にあまり魅力を感じておらず、システム開発の設計から開発まで現場で活躍することを望みます。スペシャリストとしてのキャリアパスを描く場合、現場経験をとことん積み上げていく必要があります。クライアントの要求を的確に把握し、効率的に実現させる方法を考える力を養います。問題が発生した際には、迅速かつ的確に対応します。SEはプログラミングの機会がほとんどありませんが、スペシャリストの道を目指すならプログラミング技術も高めていく必要があります。
マネジメントはスペシャリストにとって専門外の分野ですが、現場によってはマネジメント力が求められることもあります。プロジェクト経験が豊富になってくると、自然とチームリーダーとしての役割を担う形ができるかもしれません。マネジメント職ではなくても、現場で微調整が必要な際に力を必要とされるかもしれません。ひとつの分野のプロフェッショナルとして成長しつつも、マネジメントを学ぶ意識を持つようにしましょう。
SEでマネジメント職の方向に進む人は、PL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)としてのキャリアパスを描くことになります。マネジメント職のSEは、システム開発プロジェクトの責任者としてさまざまな意思決定を行っていきます。設定された目的に向かってプロジェクト全体を統括し、開発チームの管理を行います。マネジメント職のキャリアパスを考える場合には、適性があるかどうかを慎重に判断する必要があります。マネジメントを方法論として理解できたとしても、適性がないなら思うような結果を出すことはできません。SEがマネジメント職を目指す場合には、チームをうまくまとめられるだけのリーダーシップや観察力、洞察力、決断力など、リーダーに必要な総合的なスキルを身につけていく必要があります。
IT業界の前線に立つ職種はとても幅広く、その分SEのキャリアの選択肢も広範囲にわたります。日進月歩のIT業界で今後のキャリアプランを考えるなら、将来性に着目するのも一つの方法です。SEのキャリアプランの例としてはAIエンジニア・セキュリティエンジニア・ITスペシャリストの選択肢があり、いずれも需要の高さが特徴です。
SEのキャリアパスは、どのようにスキルアップするかが重要なカギとなります。SEの勉強方法は読書とインターネットの併用が主流ですが、効率的に知識を身につける工夫が必要です。読書は量ではなく質を重視し、プログラミング学習サイトなども活用しましょう。勉強のためにまとまった時間を確保できなくても、スキマ時間を使って知識を積み上げることができます。勉強会やイベントなどにも積極的に参加し、同業者との交流を深めましょう。
SEのキャリアパスが多様化した要因のひとつに、フリーランスの増加があります。フリーランスSEの多くは出向型や常駐型の働き方ですが、少数ながらリモートワーク型で働く人もいます。SEがフリーランスとして通用するようになるまでには、少なくとも5年程度の経験が必要といわれています。リモートワークは情報漏洩のリスクを考慮すると、どうしても小規模システムの案件が多くなりプログラミングがメインとなることがほとんどです。
SEの主な仕事はシステム開発における上流工程で、IT系の資格を必須とするものではありません。ただし、資格を持っていれば高い専門性と技術力の証明になり、理想のキャリアパスを実現するのに役立ちます。これからのSEにおすすめの資格は、IPAが実施している国家試験の「情報処理技術者試験」、ベンダー資格の「オラクルマスター」などです。資格の難易度が高ければ高いほど、SEとしての市場価値を高めることができます。
SEとしてのキャリアパスがはっきりしてくると、転職を考えるようになるかもしれません。SE転職を成功させるコツは、IT業界の転職事情について把握し、応募書類の作成や面接対策をしっかり行うことです。本人が考えているSEとしての市場価値と実際の市場価値が異なる場合があるので、検証する必要もあります。転職エージェントに相談すれば、SEとしての現時点での能力が市場でどのぐらいの価値を持つのかを検証できます。
フリーランスSEが案件を獲得する方法は複数あります。多くのフリーランスは、かつての勤務先の同僚や顧客、友人、知人などの紹介で案件を受注しています。クラウドソーシングサイトからの案件で実績を積んだり、勉強会やセミナーに参加して技術や案件に関する情報を交換をしたりする方法もあります。自分から積極的に行動することが難しいフリーランスでも、フリーランスエージェントを活用すれば、自分のスキルに合う案件をすぐに見つけることができます。